アルカンの命名法

アルカン (alkane; 飽和炭化水素; CnH2n+2)
 アルカンはその分子内に不飽和結合を持たない単結合だけで構成され、一般式 CnH2n+2 (n≧1) で示される。
 これらアルカンの命名は IUPAC (International Union of Pure and Applide Chemistry; 国際純正および応用化学連合) によって定められた方法により行う。
 
 ・直鎖状アルカン (normal alkane)
  直鎖状アルカンは炭素数により命名する。炭素数nのときの名称を下記に示す。
炭素数n 名称 分子式 炭素数n 名称 分子式
1 メタン (methane) CH4 6 ヘキサン (hexane) C6H14
2 エタン (ethane) C2H6 7 ヘプタン (heptane) C7H16
3 プロパン (propane) C3H8 8 オクタン (octane) C8H18
4 ブタン (butane) C4H10 9 ノナン (nonane) C9H20
5 ペンタン (pentane) C5H12 10 デカン (decane) C10H22



 ・アルキル基 (alkyl group)
  アルカンから水素を一つ取り除いた原子団をアルキル基という。名称はアルカンの -ane を -yl に置き換えつける。
アルカン アルキル基
メタン (methane) メチル (methyl; Me) -CH3
エタン (ethane) エチル (ethyl; Et) -C2H5
プロパン (propane) プロピル (propyl; Pr) -C3H7
ブタン (butane) ブチル (butyl; Bu) -C4H9
ペンタン (pentane) ペンチル (pentyl) -C5H11

 ・分岐アルカン (branched-chain alkane)
  直鎖状のアルカンが途中から枝分かれした形を持つ。命名法は複雑になり、次のようにつける。
 (1) 分子中の一番長い炭素鎖 (主炭素鎖) を見つける。
 (2)主炭素鎖に番号をつける。
    通常は最も分岐の近い方の端から番号を付けはじめる。もし二つの枝分かれが両端から同じだけ離れていたときは、二番目の枝分かれが近い方の端から番号をつけはじる。
 (3)主炭素鎖に付いている枝分かれ (置換基) の位置番号を、その置換基につける。
 (4)最後に『置換基-主鎖』の順に並べ命名する。置換基が複数個ある場合はアルファベット順、同一の置換基がある場合はその数に応じ、di、tri などの接頭語を置換基名の前につける (アルファベット順に並べるときは、接頭語を用いず置換基名でおこなう)。

 これらの方法により以下のアルカンについて命名してみる。
 

 

 置換基が更に分岐した有機物もあるが、置換基についても (1)~(4) のやり方で命名する。しかし、di や tri などの接頭語もアルファベット順に並べるときに用いる。

 アルキル基には慣用名があるものがいくつかあり、これらも IUPAC 命名法に用いることができる。iso や neo はアルファベット順に用いられるが、sectert は用いられない。